重賞競走
'02 オグリキャップ記念(中央交流) G2
'02 ブリーダーズGC(中央交流) G2
着順 | 日付 | レース名 | 競馬場 | 芝ダ | 距離 |
1 | 2002年04月29日 | オグリキャップ記念(中央交流) G2 | 笠松 | ダ | 2500 |
1 | 2002年08月15日 | ブリーダーズGC(中央交流) G2 | 旭川 | ダ | 2300 |
2 | 2002年04月21日 | アンタレスS G3 | 京都 | ダ | 1800 |
3 | 2002年05月19日 | 東海S G2 | 中京 | ダ | 2300 |
1 | 2000年09月02日 | 美唄特別 500万下 | 札幌 | ダ | 1700 |
1 | 2001年09月08日 | 北斗賞 1000万下 | 札幌 | ダ | 1700 |
1 | 2001年10月20日 | 嵯峨野特別 1000万下 | 京都 | ダ | 1800 |
1 | 2002年01月12日 | 雅S 1600万下 | 京都 | ダ | 1800 |
年 | 主催者 | レース回数 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 賞金 |
1998年 | 中央 | 4 | 1 | 1 | 0 | 2 | 8,400,000 |
1999年 | 中央 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 |
2000年 | 中央 | 15 | 2 | 2 | 1 | 10 | 32,685,000 |
2001年 | 中央 | 10 | 2 | 1 | 2 | 5 | 50,873,000 |
2002年 | 中央 | 7 | 1 | 1 | 1 | 4 | 50,612,000 |
2002年 | 地方 | 5 | 2 | 0 | 0 | 3 | 80,000,000 |
2003年 | 中央 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2,400,000 |
2004年 | 中央 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
合計 | 中央 | 44 | 6 | 5 | 4 | 29 | 144,970,000 |
合計 | 地方 | 5 | 2 | 0 | 0 | 3 | 80,000,000 |
2002年の8月。かつて、北海道旭川市にあった旭川競馬場で行われた第14回ブリーダーズゴールドカップでトーホウエンペラーなどを尻目に堂々9馬身差で勝利した『個性派』アルアラン。旧JR静内駅から車でゆっくり30分ほどの場所にある、北海道新ひだか町農屋の畠山牧場で静かに余生を過ごしています。
『農屋』とは、アイヌ語で『ヨモギ』とか『草むら』を意味する言葉。豊富な栄養素に恵まれたヨモギは、漢方薬の原材料として使われることも多く、健康に良いとされる野草です。この辺りが豊かな土地であることが想像されます。
アルアランは現役時代、500キロ近い恵まれた馬体から繰り出されるスピードと豊かなスタミナを武器にオグリキャップ記念、そして前述のブリーダーズゴールドカップなどを優勝。ダートの長距離重賞で活躍し、通算49戦8勝 の成績で現役を引退しました。その後は種雄馬とならずに2008年に引退名馬となりました。
今年27歳になったアルアランがひょっこりと顔をのぞかせるその馬房。そこはかつて、有馬記念を優勝したシルクジャスティスが余生を送った場所でもあります。
現在は引退したばかりの雌馬や残念ながら妊娠しなかった種雌馬たちと共に、穏やかな時間の中を生きています。
「この馬との付き合いもずいぶんと長くなりました。」
と同牧場の畠山史人社長。
「現役時代に管理していた昆貢調教師が、自分に初めて大きなタイトルを授けてくれた馬なので大切にしたいと行き先を探していたそうです。私たちにとっては“縁”があったのだと思います。」
と優しい視線をアルアランに向けます。
取材させていただいた8月上旬は北海道も夏。馬は基本的には暑さには強くないので、この時期は厩舎で過ごすことが多いそうですが、この日は気温が落ち着いた夕方近くの午後に放牧していただきました。
「若い時は立ち上がったりもしましたので、その頃に比べれば扱い易くはなりましたが、27歳としては十分に健康で元気だと思います。食欲もあって、しっかりと歩いてくれます。」
と畠山社長が言うように、広大な放牧地を与えられたアルアランは少しでも美味しい青草を求めて歩き回り、そして食欲を満たしているようにも見えます。
「歯が丈夫なんです。脚元も腫れたことがありません。」
と、健康の秘訣を教えてくれました。
「それから、人間と同じで自分よりも若い馬たちに囲まれているのも、良い刺激になっているのではないでしょうか。」
そう言って笑う畠山社長に、引退名馬を扱う上で気を付けていることを伺いました。
「生まれたばかりの馬も同じですが、小さな変化を見逃さないという事を心がけています。年齢を重ねてくると免疫力が落ちて、抵抗力も低下しますので、若くて元気な馬なら何でもないことでも大きなことにつながってしまいますから。」
ということを前提に
「特別扱いしないこと。」
と言います。
取材者にとっては、食べきれないくらいの草がある放牧地、適度に運動できるという環境、それだけでも『特別』という気もしますが、自然に近い状態で放牧することで自己免疫力の低下を防ごうという意図があると理解しました。それは、27歳になって今もなお元気に過ごしているアルアランを見れば納得の言葉でもあります。
「中央競馬のGⅠ競走を勝ったわけでもないのに、人間の思いと縁があったから、こうして長生き出来ている。これからも1日でも長く元気でいて欲しいと思っています。感染症対策のため、引き続き展示を制限してはいますが、馬は元気に過ごしていますので、ぜひ会いに来てください。」
とコメントをいただきました。