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ナリタタイシン

プロフィール

父: リヴリア
母: タイシンリリイ
品種: サラブレッド
性別: 雄
毛色: 鹿毛
生年月日:1990年06月10日
母馬所有者: 川上 悦夫
生産牧場: 川上 悦夫
産地: 北海道新冠郡新冠町

重賞競走

'93 皐月賞 G1

'94 目黒記念 G2

'92 Rたんぱ杯3歳S G3

近況 2020年4月

2020年4月13日に死亡しました。

JAIRS情報提供者:

繋養展示場所
〒 北海道沙流郡日高町
 
展示時間
09時00分~09時00分
着順 日付 レース名 競馬場 芝ダ 距離
1 1993年04月18日 皐月賞 G1 中山 2000
1 1994年02月20日 目黒記念 G2 東京 2500
1 1992年12月26日 Rたんぱ杯3歳S G3 阪神 2000
2 1994年04月24日 天皇賞(春) G1 阪神 3200
2 1993年03月07日 弥生賞 G2 中山 2000
2 1993年07月11日 高松宮杯 G2 京都 2000
2 1993年01月17日 シンザン記念 G3 京都 1600
3 1993年05月30日 日本ダービー G1 東京 2400
2 1992年11月21日 福島3歳S オープン 福島 1200
主催者 レース回数 1着 2着 3着 着外 賞金
1992年 中央 6 2 2 0 2 47,299,000
1993年 中央 6 1 3 1 1 238,391,000
1994年 中央 2 1 1 0 0 111,718,000
1995年 中央 1 0 0 0 1 0
合計 中央 15 4 6 1 4 397,408,000

2015年4月 ~ナリタタイシンとの再会~

札幌から車で約1時間30分。
新千歳空港から45分ほどの距離にある競走馬育成牧場のベーシカル・コーチング・スクール。
ここに、25歳になった第53回皐月賞に優勝したナリタタイシンがいます。


現役生活を引退後、6年間の種雄馬生活を終えて、この牧場に来場しました。
与えられたのは厩舎近くの専用の放牧地。
緩やかな傾斜の下には1200㍍の坂路コースや全長800㍍の屋内坂路コースも見えます。

競走馬のひよっこたち約60頭が過ごすここで、もう10年以上を過ごしているというから、ナリタタイシンにとっては文字どおりに終の棲家となりそうです。
 

代表の高橋司さんは

「私たちのような育成牧場は、馬のサイクルがとても早いです。
1歳秋にお預かりして、2歳の春にここを巣立った馬が2度と戻ってこないということも珍しくありません。
だからこそ、高齢馬ナリタタイシンの存在がスタッフたちにとって、とても大きいのです。」

と話してくれた。

ベーシカル・コーチング・スクールは、文字どおりに馬に競走馬としての『いろは』を教え込むところですが、ナリタタイシンの存在が、ここの先生たちにいろいろな事を無言で教えてくれているといいます。


厩舎長の森脇仁志さんに案内されて、ナリタタイシンがいる放牧地に向かいました。
現役時代420㌔だった馬体はひとまわり以上も大きくなったような気がしますが

「相変わらず元気で、食欲も旺盛なのですが、昨年あたりから少し肉が落ちてきました。
25歳になりましたから、いつまでも上体が重いままでも困るのでしょうが、やはり少し気になります」

と森脇さん。
それでも、馬そのものは元気そうに見えるし、高齢馬特有の痩せた感じもない。

「馬にとって、25歳というのはひとつの区切りだと思いますし、ここから先は小さなアクシデントが致命傷になりかねないと思います。
細心の注意をもって馬に接していきたいです。」

と暖かい視線を投げかけていました。

性格を一言で表すと

「やんちゃで賢い。実は、今でも去勢していないのです。
その必要がないくらいにおとなしいし、従順です。」

このエピソードだけで、森脇さんだけでなく、ここのスタッフみんなが、そんなナリタタイシンのことを大好きだということが理解できます。

「現役生活を引退して、もう20年近く経ちますけれども、今でも多くのファンの方が訪れてくれます。
以前、ひとりで牧場を訪れた方が結婚して、子供ができて、その子供に“タイシン”と名付けて、子供と一緒に訪れてくれたこともあります」

というエピソードも披露してくれました。


人懐っこいというか、愛想は良いそうで、見知らぬ人を見るとトコトコと牧柵の近くまで来て“ごあいさつ”。
そして、再び放牧地の真ん中あたりへ戻っていくといいます。
なるほど賢い馬です。


ここからほど近いところにはビワハヤヒデが元気にしており、浦河ではウィニングチケットも健在です。
“平成の3強”といわれた馬たちが、20年以上の年月を経てもいまだに元気に過ごしていることを、とても嬉しく思います。

残念ながらその血をサイアーラインとして伝えることは出来ませんでしたが、ナリタタイシンは、その存在で多くのことを残してくれているように思います。

動画も公開していますので「ナリタタイシンの近況」からご覧ください。